あなたはいかなる像も造ってはならない (出エジプト20,4)

 

 2017年3月2日

大和カトリック教会

主任司祭  鈴木正夫

                                                           

   

 大変にぎわうクアラルンプールの空港でキム・ジョンナンさんが殺害され、大きな衝撃が走りました。ニュースによれば、北の工作員たちの用意周到な計画的犯罪でした。北朝鮮のジョンウンの指示であると言われています。そうならば、兄弟殺しの地獄絵を見るような出来事です。「お前の弟アベルはどこにいるのか」(創世記4,9) 大昔の物語ではなく、現在においても権力の座を確実にするため血縁関係を完全に断たねばならないと思い、それを実行してしまう悲しい人間の性を思い起こさせる出来事でした。他国との良いつながりを構築するより、核実験やミサエルを飛ばすことによって存在感を示そうとしている危なかしい政治手腕は、ますます孤立を深め、国を危うくさせているように思います。金日成 金正日 金正恩と三代にわたって血縁関係で国を治め、それを自己の使命とばかりにきっと信じ込んでいるのでしょう。自分こそ国を守る人間であると。沢山の人を容赦なく罰し、処刑にするのも国を守ると言う大義であり、兄を殺害するにもちゃんとした大義があると言うことでしょう。

 NHKBS1スペシャル番組で、アウシュビッツで案内役をしている日本人のことを知りました。中谷剛さんです。「涙を流すより、考えよう」と言う言葉が印象的でした。当時の受刑者であり、かつての自分の案内の指導をしてくださった方の切実なことばだそうです。番組の中で、強制収容所からすぐ近くに立派な屋敷が見えていました。「あれが、当時収容所の所長を務めていた某氏の家です。奥さんを愛し、子ども4人居て…」の説明があり、まったく家族を大切にし、立派な生活をしていたと言うことです。それでも日々の仕事は何千と言う人間をガス室に送り、焼却処分にすることであったと言うことです。

 人はどこから狂ってくるのか。時代の流れに迎合し、自分自身は傷つかず、社会の勝ち組と自認し、そしてそれを良しとする大義(偶像)を拝み続けたと言えるかもしれません。

 出エジプト記にシナイの山で主から「十戒」をいただいたことが語られています。「あなたは、わたしをおいてほかに神があってはならない。あなたはいかなる偶像も造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない」(出エジプト20,35)本当のことでない物を、本当とすりちがえてそれを神のように拝み続けることは人間のおちいりやすいことであることを教えている箇所です。自分の存在にとって危険となるものを排除(殺害)し、自分が中心()として権力を握ることは、過去の歴史の中で何度も現れたことでした。ヒトラーのように、当の本人もそれに従う大衆もそのような雰囲気(大義)に酔いしれ、排他的となり、逆らうもの、役に立たないものを容赦なく殺してしまいます。今世界中が保護主義的になってきました。「偉大なアメリカをとりもどす」と主張している新大統領の言っている「偉大なアメリカ」とはどのようなことを言っているのでしょうか。白人支配の国のことでしょうか。フランスやオランダにも極右政党が頭をもたげてきています。みんなが勝手なことを主張し合う時代になるのでしょうか。神のいないむなしい偶像をつくり、その神を拝み始めているように思えるのです。

       

 

お知らせ

 

 

 

トピックス

 2015.7.5. 新しいホームページを公開しました。